見なきゃダメだ!あの「エヴァ」が10年ぶりに映画で完結

セカンドインパクト」「人類補完計画」など謎の言葉で社会現象にまで発展したアニメ映画「新世紀エヴァンゲリオン」が約10年ぶりに復活することが8日、分かった。来年初夏を皮切りに、前・中・後編と完結編の4部作で公開。前回と同じく庵野秀明氏が監督を務める。とくに完結編では、前作でさまざまな論争を巻き起こしたラストに真の決着をつけるといい、ファンの間で大反響を呼びそうだ。
あの「エヴァ」が復活−。10年前に同アニメが巻き起こした空前の大ブームは、誰もが記憶に残っていることだろう。
謎の敵・使徒に立ち向かう少年少女3人の成長物語に加え、ちりばめられた数々の謎や伏線で爆発的人気を集めた同アニメシリーズ。
テレビ東京で平成7年10月4日から翌年3月27日まで夕方に放送されたが、最後の25話と26話の製作が間に合わず、主人公の精神世界を描いて終了。平成9年3月に公開された劇場版映画も製作が間に合わず、未完のまま公開された。同年7月に完成版が公開されたが、ファンの間では不可解ともいえる結末に賛否両論が沸騰した。
こうしたブームを背景に、この2本と10年公開の1本を合わせた映画3部作の興収は計45億円に上り、関連グッズも驚異的な売り上げを記録。結末をめぐるネット上でのファンの論争は、現在のネット掲示板2ちゃんねる」を作り出すきっかけにもなった。
一方、同アニメのヒロイン、綾波レイのフィギュアなどが東京・秋葉原を中心に出回ったことからオタクたちが集まり、秋葉原が現在の“オタク都市”の顔を持つようになったともいわれている。
庵野監督は、想像以上の反響に戸惑い、これまで続編の製作を避けてきた。だが、10年の歳月が過ぎる中で徐々に考え方を変え、「きちんとしたラストを提供したい」と完結編の製作を決意。同映画の大月俊倫プロデューサーも「ファンの間で消化不良で終わっていたラストに半分答えつつ、半分いい意味で裏切りたい」と新たなラストを描くことで、現在まで続く論争に決着をつけるつもりだ。
前・中・後編はテレビシリーズ(全26話)の24話までを中心に、登場人物の設定、背景などを3分の1以上変え、新作カットを付け足して大幅リニューアル。完結編は完全なオリジナル版となる。絵コンテは「日本沈没」の樋口真嗣監督が担当。「エヴァンゲリオン 新劇場版 REBUILD OF EVANGELION」のタイトルで、今月中旬から本格的に製作が始まる。
★衰えぬ人気
ブームから10年近くたった今でもエヴァンゲリオン人気は健在だ。原作コミック(角川書店)は既存10巻で累計1500万部を突破。ビデオ、DVDは累計450万枚を販売し、総売り上げは約300億円。秋葉原では綾波レイのコスプレ姿をした女性が、いまだに後をたたない。最近ではパチンコやスロットなどにも登場してファン層を広げており、関連グッズの総売り上げは1000億円を超えたともいわれている。
■「新世紀エヴァンゲリオン
西暦2015年。セカンドインパクトと呼ばれる世界的危機から復興しつつあった世界に突如、謎の敵・使徒が襲来する。対抗できるのは「汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン」のみ。その操縦士に選ばれたのは、弱冠14歳の少年少女、シンジ、レイ、アスカの3人だった。使徒の正体とは? セカンドインパクトとは? そして秘密裏に進められる「人類補完計画」とは。さまざまな謎を残しつつ、人類の命運をかけた戦いの火ぶたが切って落とされた…。